更年期の尿失禁には“排尿障害”と、“排出障害”の二つがある!対処法も徹底解説!

更年期の尿失禁には“排尿障害”と、“排出障害”の二つがある!対処法も徹底解説!

「なぜか尿が漏れてしまう」

人間は年齢を重ねて40代や50代という更年期の時期に到達すると、“尿失禁”に悩まされる事が珍しくありません。

尿失禁は「ちょっと尿が漏れてしまうだけではないか。

正直、大した症状ではないだろう。」と若い頃は思ってしまいますが、自分がいざ尿失禁になると日常生活に支障をきたすほどのトラブルである事を実感します。

尿失禁は当事者にとっては“大病”に匹敵する悩みなのです。そもそも、尿失禁には疾患を原因としている場合もあるので実際に大病である場合もあります。

この記事では、そんな多くの人を悩ませる更年期障害の尿失禁が何故起こるのか、尿失禁に対する対処法には何があるのかについて解説します。

尿失禁が起こる原因や対処法は数多くあります!

尿失禁の原因や症状1:蓄尿障害

頻尿の原因は大別すると二つに分ける事ができるのですが、一つ目の原因が“蓄尿障害”です。

蓄尿障害とは疾患などによって尿を溜めておけずに我慢しきれなくて漏らしてしまうという尿失禁です。

蓄尿障害には以下のような種類の尿失禁症状があります。

切迫性尿失禁

尿意が急激に生じて我慢しきれずに漏れてしまう尿失禁です。膀胱の異状を原因として尿失禁が起こります。

基本的には、更年期障害による膀胱の衰えによって膀胱が小さくなってしまって尿を溜める量が少なくなるので発生しますが、以下のように疾患を原因とする場合もあります。

膀胱が活発になりすぎて過敏になってしまう過活動膀胱が原因の一つとなります。

過活動膀胱とは、膀胱が正常な状態ならば尿意を全く感じない量しか膀胱に尿が溜まっていないのに、過敏になりすぎて尿意を感じてしまう状態です。

過活動膀胱の症状が進むと、突然の尿意に我慢ができずに漏らしてしまいます。

膀胱炎も原因となります。

膀胱内に入った細菌が炎症を起こす疾患が膀胱炎なのですが、身体の防衛システムが働いて細菌を排出しようとして排尿回数が増えるので頻尿となり、症状が進んで切迫性尿失禁となります。

尿道の短い女性に特に多い頻尿原因の一つとなっています。

他にも脳血管障害・脊髄障害後遺症といった“神経因性膀胱”、神経系の疾患などが膀胱に影響を与えて尿失禁の原因となる事もあります。

溢流性尿失禁

排尿後でも膀胱内に尿が多量残っているために起こる尿失禁です。何らかの症状によって排尿が妨げられる事を原因とする尿失禁です。

この尿失禁には残尿感が伴います。基本的には更年期障害による膀胱収縮機能の低下で発生しますが、以下のように疾患を原因とする場合もあります。

前立腺肥大症という膀胱の下にある前立腺が尿道を圧迫するほどに大きくなる症状が原因の一つとなります。

前立腺肥大症は数多く排尿障害を引き起こす疾患となっており、尿を排出しきれないので尿失禁となります。男性特有の尿失禁原因です。

他にも、直腸がんや子宮がんの手術などの影響で膀胱周囲の神経機能が低下していると排尿しきれずに尿失禁してしまいます。

腹圧性尿失禁

咳やくしゃみをしたり、重いものを持ったりして腹圧を上昇させる事で起こる尿失禁です。更年期障害や疾患を原因とした尿道の緩みを原因としている尿失禁です。

内因性括約筋不全、前立腺手術の影響による尿道括約筋の障害、便秘や肥満による骨盤底筋群の弛緩など尿道を緩める症状を原因としています。

混合型尿失禁

切迫性尿失禁と溢流性尿失禁の二つを原因としている混合型の尿失禁です。

機能性尿失禁

機能性尿失禁は身体の障害によって運動機能に問題がある場合や、認知症などによってトイレを認識できなかったり、間に合わなかったり、排泄行為自体を認識できないなど“機能性”の問題を原因としている尿失禁です。

尿失禁の原因や症状2:排出障害

尿失禁は排出障害も原因の一つとしています。排尿障害と似ていますが、全く違います。

排尿障害は我慢できずに排尿をしてしまうのに対して、排出障害は“排尿したくてもしっかりと排尿できない”という排尿コントロールを自分の意思でできない状態にあります。

「壊れた電化製品のスイッチを入れてもすぐにつかないのに、忘れた頃に突然つく」という事があるように、突然思いもよらないタイミングで勝手に排尿してしまうのです。

排出障害は主に以下の二種類あります。

膀胱収縮障害

膀胱の収縮に障害があって排尿をコントロールできない事を原因とする尿失禁です。

神経障害などによって排尿筋低活動状態であったり、膀胱が無収縮の状態にあると発生する尿失禁です。

尿道通過障害

何らかの原因によって尿道が塞がってしまう事で発生する尿失禁です。

先に解説した“前立腺肥大症”が悪化してほぼ完全に尿道を塞いでしまったり、前立腺癌や尿道狭窄、膀胱頸部硬化症などを原因としています。

尿失禁対処法

尿失禁になってしまった場合の対処法は症状別に以下のようになっています。

病院で治療する

症状の重い排出障害型の尿失禁や、過活動膀胱や前立腺肥大症など疾患を原因とする尿失禁は医師の診察や治療を受ける事が一番の対処法となります。

切迫性尿失禁と溢流性尿失禁を原因としている複雑な混合型尿失禁も更年期障害による衰えに隠れて疾患を原因としている場合もあるので、医師の診察を受けるのが一番の対処法です。

切迫性尿失禁対処法

膀胱訓練が対処法となります。トイレをできるだけ我慢するようにすると膀胱が広がって尿失禁しにくくなります。

尿意は波のように推移するものであり、寄せたり引いたりしながら次第に強くなります。できるだけ我慢して尿意が何度か押し寄せて落ちついた所でトイレに行きましょう。

毎日繰り返せば膀胱が少しずつ大きくなります。

最初は我慢する時間を5分くらいからはじめ、段々と我慢する時間を伸ばします。最終的には、トイレに行きたくなっても15分程度は我慢できるようにしましょう。

膀胱訓練をする際には、1日に1,200 ml~1,600 ml程度の水分摂取をするのが効果的です。

ちなみに、医師の診察を受ければ、抗コリン剤という膀胱を拡大する薬を処方してもらえます。

溢流性尿失禁対処法

残尿感を無くすように対処します。

簡単な対処法としては、排尿の度に尿を出しきるようにイメージしながらお腹を押して排尿します。

医師の診察を受ければ残尿を無くしやすくするために膀胱を縮ませる薬を処方してもらえます。

それでも残尿がある場合、一日に数回の割合で定期的にカテーテルを尿道から膀胱に入れて尿を排出する「導尿法」が対処法となります。

病院で指導を受ければ、自分で導尿する事も可能です。

腹圧性尿失禁対処法

腹圧性尿失禁の場合は、緩んだ尿道をしめる事が何よりも対処法となります。

尿道をしめるには、“骨盤底筋訓練体操”をして尿道をしめる筋肉である骨盤底筋を鍛えます。

体操の仕方は、肛門や尿道・膣ギュっとしめる事をイメージしながら5秒間強くしめ、その後ゆっくり緩めます。

これを20回1セットとし、朝、昼、夕、就寝前の4回毎日行うと効果的です。便秘や肥満も原因になるので、思い当たる人は便秘改善やダイエットも対処法となります。

機能性失禁対処法

運動機能に問題がある場合はリハビリをしたり、トイレを使いやすいようにリフォームしたり、脱ぎ着しやすい服にするなどが対処法となります。

認知症などを原因としている場合はトイレに行きたいというサインを見つけてあげたり、トイレだと分かりやすいようにドアに大きく「トイレ」などと表示してあげるのが対処法となります。

尿失禁の原因や症状は様々

これまで解説してきたように、尿失禁と一口に言っても膀胱に異状がある場合や尿道に異状がある場合など様々な原因や症状があります。

症状によって膀胱を鍛えたり、骨盤底筋を鍛えたりと対処法が違うので、自分が何を原因とした尿失禁なのか知る必要があります。

そして、前立腺肥大症などを原因とした重い症状の尿失禁の場合は医師の力を借りなければ対処できません。

なので、尿失禁になってしまったら自分で勝手に診断しないで一度は医師の診察を受けてしっかりと自分の尿失禁について把握するようにしましょう!